抗リン脂質抗体について抗リン脂質抗体症候群とは抗リン脂質抗体という自己抗体によって引き起こされる不育症や反復血栓症です。 原因 母体の液性免疫反応が過剰な病態で一般 的にアレルギーと呼ばれています。 遺伝子が母親と異なる絨毛(胎児)の一部組織ない細胞を 非自己の異物とみなして拒絶する流産です。 つまりこの病気の場合、赤ちゃんを養う絨毛という組織の血管がつまり、 赤ちゃんに十分な栄養が届かなくなり胎児が餓死の状態に陥り 流産すると思われます。 流産の他にも妊娠中期・後期の子宮内胎児死亡、妊娠中毒症、 子宮内胎児発育遅延などの原因にもなります。 検査項目 『抗リン脂質抗体症候群及び自己抗体免疫異常に関する検査』 ・第12因子量 [基準値 60~150%] ・LAC ループスアンチコアグラント(蛇毒法) 1.0 [基準値 1.3未満] ・TPHA法(定性) [基準値 (-)] ・RPR法 [基準値 (-)] ・抗核抗体(定量) ± [基準値 40倍未満] ・HBs抗原(緊急) [基準値 (-)] ・HBs抗原精密測定 [基準値 0.5U/ml未満] ・HCV抗体(緊急) [基準値 (-)] ・抗フォスファチルエタノールアミンIgG抗体(抗PEA IgG) キニノーゲン+(添加群) 0.366 [基準値 0.3未満] キニノーゲン-(非添加群) 0.173 [基準値 0.3未満] ・抗フォスファチルエタノールアミンIgM抗体(抗PEA IgM) キニノーゲン+(添加群) 0.328 [基準値 0.45未満] キニノーゲン-(非添加群) 0.445 [基準値 0.75未満] ・抗カルジオピリンβ2グリコプロテインI複合体(CL-β2GPI) 0.7未満 [基準値 3.5未満] 『同種免疫異常に関する検査』 ・NK細胞活性 [基準値 18~40%] ・リンパ球混合培養(MLC試験) [基準値22%以上] 詳細 ・第12因子量・・・血液凝固系の異常があると、おもに妊娠中期以降の 子宮内胎児死亡が引き起こされることがわかっています。 国内では第XII因子低下症の頻度が高く、胎盤での血栓を引き起こすことが 流産の原因と考えられています。 ・ループスアンチコアグラント(LAC)・・・ループスアンチコアグラント抗体は、 抗リン脂質抗体と言い、膠原病(リウマチ等)で出現し、流産や胎児死亡の 原因の一つと考えられています。 ・TPHA法・・・TPHA法は梅毒そのもの(抗原=梅毒トレポネーマ)を見る わけではなく梅毒の感染によりできた抗体を見る検査です。 ・RPR法・・・梅毒に感染すると、血清中には脂質抗原に反応する抗体が 産生されます。この抗体は梅毒に感染後速やかに上昇するため、早期の 梅毒感染指標とされ、臨床症状とも良く相関することから梅毒検査として 用いられています。 ・抗核抗体・・・抗核抗体陽性を示すSLE(全身性の多臓器疾患である全身性 エリテマトーデス)では習慣流産や血栓症を引き起こす「抗リン脂質抗体症候群 (APS)」を合併している方がおよそ2割いるとされます。 このAPSは不妊症、不育症の原因となりえることから、抗核抗体検査は APSを含む膠原病のスクリーニングの一つと位置づけることができます。 ・HBs抗原・・・HBs抗原が陽性の場合、B型肝炎ウイルスに感染中であることを 表しています。しかし、B型肝炎ウイルスに感染していても免疫が働かず中和抗体 が作られない、いわゆる無症候性キャリアで肝炎を発症しない場合もあります。 また、HBs抗原・抗体ともに陰性であれば感染していません。 ・HCV抗体・・・HCVとは、肝炎ウイルスの一つであるC型肝炎ウイルスのことです。 HCVに感染しても、C型慢性肝炎や肝硬変の初期では自覚症状がなく、 肝機能も正常のことがほとんどですが、血液中にHCV抗体がつくられます。 この検査では、採血をして血清中のHCV抗体を測定することによりC型肝炎の 感染の有無を調べることができます。 ・抗フォスファチルエタノールアミンIgG抗体(抗PEAIgG抗体)・・・ 妊娠初期流産を繰り返すタイプの不育症群ではキニノーゲンを認識する 抗フォスファチジルエタノールアミン抗体(抗PE抗体)が多く見いだされる。 キニノーゲンもまた第12因子と同様カリクレインーキニン系の蛋白であり、 それに対する自己抗体が存在すると線溶系を低下させる可能性がある 。 ・抗カルジオピリン抗カルジオピリンβ2グリコプロテイン抗体・・・ 抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibody:aPL)が認識する抗原は リン脂質そのものではなく,リン脂質と結合した血漿蛋白であることが判明しており, 抗カルジオリピン抗体(aCL)はカルジオリピンと結合した β2-glycoproteinI(:β2GPI)などと反応する抗体である。 ・NK細胞活性・・・NK細胞とは、白血球の一種で血液中にあり、外部からの 細菌などの侵入を防ぐ役割があります。しかし、胎児を異物ととらえては困った 事態になるので、妊娠するとNK細胞の活性が抑えられる仕組みになっています。 ところが、妊娠してもNK細胞の活性が高いままで、胎児を異物と判断して 流産してしまうこともあります。 ・リンパ球混合培養(MLC試験) 正常時はアカの他人(HLAクラスII抗原の共有数が少ない)のリンパ球を一緒にすると、 猛烈にお互いを攻撃します。夫婦のリンパ球を一緒にした場合、攻撃しないで 仲良くしてしまってはいけません。 お互いに近親と認識していることになってしまうからです。 抑制効果22%以下が同種免疫異常となります。 同種免疫異常不育症においても最近はHLAタイピングよりMLC検査の方が 重用視されるようになっています。 治療法 『抗凝固療法 血液が固まりにくくする薬を用いる治療法』 低容量 アスピリン療法、へパリン療法 * 最近は低分子ヘパリンの使用例も多く報告され、 海外では低分子ヘパリンがスタンダードな治療法になりつつあります。 へパリンがなぜ不育症に有効なのかはいまだ不明な点も多いということです。 ヘパリンの投与方法としては、ほとんどの海外の報告では 5,000単位を12時間ごとに皮下注となっています。 ヘパリン投与開始時期は妊娠反応で妊娠確認出来次第であるが、 過去の流産歴が妊娠6週以降の場合はまず低用量アスピリン療法を行い、 超音波検査で子宮外妊娠を否定した後、ヘパリンを開始するべきという意見もある。 ヘパリンは妊娠をとおして投与し、分娩の1日前には中止する。 もし緊急帝王切開など、ヘパリン投与中に分娩の必要がある場合、 硫酸プロタミン(ヘパリン1,000単位に対し2.5mg)を 希釈して10分以上かけて静注し、中和する(50mgを超えてはならない)ことが可能である。 ヘパリンの副作用としては骨粗鬆症が重要である。 平均して骨密度は1ヶ月で1%失われるといわれている。 ヘパリン投与量が15,000単位/日を超した場合は炭酸カルシウム1.5g/日を 投与するべきである。 ヘパリンのもうひとつの重要な副作用はヘパリン惹起性血小板減少症であるが、 その頻度は1%未満であると報告されている。 漢方薬内服 柴苓湯の自己免疫異常不育症への有効性が 東大の研究チームによって基礎医学的に明らかにされました。 免疫抑制療法 とりあえずいろんなHPを見ながら抜粋したものです。 自分も含め今後の参考のためにまとめてみました。 適切でない内容が含まれていましたらすいません。 ご参考程度に・・・。 ちなみに検査項目の数値は今回私が検査した結果の数値です。 |